ちはやふる

感想とレビュー

●異色のテーマ！　競技かるた
　野球、サッカー、バスケなどスポ根アニメのテーマは様々だったが、競技かるたというのは初めてではないだろうか？
本作はこの、ある意味マイナーな世界をしっかりと描いている。
果たしてかるたはスポーツなのかという疑問も湧くだろうが、本作を見ていただければ紛れもなくスポーツであることがわかる。
真夏に熱い部屋で特訓をし、戦術を駆使、刹那の時間を競う反応の勝負をする。　
選手たちは信じがたいほどの能力を発揮するが、それは超能力などではなく、あくまで地味な努力を重ねた延長線上にあるもの、実際に使える技なのである。
今まで、ニュース番組のスポットコーナーなどでしか紹介されていなかった世界を、このアニメを通して深く知ることが出来るのである。

●かるたを通して繰り広げられる恋と青春の物語！
　主人公・綾瀬千早はかるたバカである。
　人気モデルの姉を持ち、本人も際立った美少女なのであるがその自覚はなく、かるた一辺倒な毎日を送っているのである。
　目標はかるた世界一！
　そのちはやとともにかるたで青春を送っているのが真島太一と綿谷新。
太一も新もちはやの事が好きで告白をしたのだが、ちはやがかるたバカなので期待した返事はもらえず、恋愛方面はなかなか進展しない。
　激動するかるた競技の下で氷河を流れる水のように、だが確実にちはやたちの青春は進んでいる。
　原作が少女マンガであるだけに恋愛描写もしっかりしており、もどかしくも甘く切ない青春を楽しめるアニメである。

●普通の人々も活躍！美形じゃなくても青春はある！
　メインの三人であるちはや、太一、新は美形である。
　しかも、かるたの才能も持っているというハイスペックキャラクターたちだ。
　少女マンガが原作の場合、登場キャラが全員美形、もしくは美形以外はモブ扱いという作品が多い。
　だが、この作品ではいわゆる”普通の人々”にもしっかりと居場所があるのだ。
千早の所属する瑞沢高校競技かるた部の初期面子からして地味子、デブ、眼鏡というおおよそ少女マンガでは活躍出来そうにない顔ぶれである。
だが千早と比べれば地味な少女の奏も、誰よりもかるたに書かれた和歌の心を愛し、歌の意味や背景を大切にすることで千早に影響を与えている。
デブな西田優征も運動神経は高く、札の流れを読む才能に長けている。
ちはやたちと並ぶ、A級選手として活躍しているのだ。
眼鏡で小柄な少年、駒野勉は勉強漬けの人生に別れを告げ、かるたに打ち込み始めた。　運動神経に恵まれず当初はD級選手だったのだが、頭脳を活かしたデータ分析力を活かして部員たちに適切なアドバイスを送っている。
奏に告白するという目標もあり、彼の青春は輝いている。
　メインはあくまで美形キャラクターのアニメだが、平凡なキャラクターたちも、自分にしか出来ないことでそれぞれ頑張っているのだ。
　その姿に、世の中の大多数を占めるであろう凡人たちは共感と嬉しさを覚えるのである。
　
このような魅力にあふれ、アニメは二期までが制作、実写映画化もされた名作である。
　まだ見ていない人は、ぜひちはやふるの世界に足を踏み入れて欲しい。

こんな人にオススメ！

・競技かるたに興味のある方！
・少女マンガ好きな方！
・青春を何かに打ち込む熱い姿を見たい方！
・普通の人々の活躍を見たい方！

スタッフ

監督：浅香守生
シリーズ構成：高山直也、柿原優子、加藤綾子
キャラクターデザイン：濱田邦彦
アニメーション制作：マッドハウス
原作：末次由紀

キャスト

綾瀬千早：瀬戸麻沙美
真島太一：宮野真守
綿谷新：細谷佳正
大江奏：茅野愛衣
西田優征：奈良徹
駒野勉：代永翼
若宮詩暢：中道美穂子
その他、入野自由、潘めぐみ、東地宏樹など

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