涼宮ハルヒの憂鬱

感想とレビュー

●深夜アニメの代名詞！学園・SF・コメディぜんぶが詰まったエンタテインメント作品
「ただの人間には興味ありません。宇宙人、未来人、超能力者がいたら私のところに来なさい！」
高校入学早々ぶっとんだ挨拶で周りをドン引きさせた美少女・涼宮ハルヒ。「そんなのいるわけないだろ…」と思っていたら、彼女の周りに集まったのは、本当に宇宙人未来人超能力者だった…彼らと、本当に普通の人間・キョンが、ハルヒにSOS団（世界を大いに盛り上げる涼宮ハルヒの団）へと加入させられ、非日常に巻き込まれつつ学生生活を送るというストーリー。
このハルヒの挨拶があまりにも有名になったため、本編を観たことがなくても、「ハルヒ」という名前だけなら知っている人がほとんどではないだろうか。
変人美少女ハルヒと、メガネの寡黙な宇宙人・長門有希、おっぱいの大きい萌え系未来人・朝比奈みくる、うさんくさい笑顔が特徴の超能力者・古泉一樹。そんな濃いメンツの中に一人混じったごく普通の人間・キョンという、個性あふれる魅力的なキャラクターたちの人気も高く、彼らのおもしろおかしい日常、人ではない彼らがハルヒのもとへ集まってきた理由、次々と起こる超常現象、ハルヒの能力…日常系でありSFでありラブコメでもある、おもしろい要素が絶妙なバランスで組み合わされた、完成度の高い作品だ。

●ハルヒが起こす超常現象と、SOS団メンバーたちの苦悩。それを見るキョンの目線
宇宙人に殺されそうになるとか、閉鎖空間なるものに閉じ込められるとか、タイムスリップさせられたりだとか、キョンが巻き込まれる超常現象はかなりの確率でハルヒのせいなのだが、彼女自身はまったく気が付いていない。
そうしてストレスを溜めまくったハルヒが世界を破壊あるいは改変しないよう暗躍する彼らが健気に見えてきて「おつかれさまです…」と声をかけたくなる気分だ。
そんなハチャメチャな非日常を、キョンは「普通の人間の目線」を通して語り、ツッコみ、受け止める。キョン補正がかかってはいるが、どれだけ話が展開しても、非日常は異常であるという前提を崩さないで見ることができる、それが面白さを増していると思う。

●2回のアニメ化、そして劇場版。いろんな意味でこだわり尽くされた作品
「涼宮ハルヒの憂鬱」は2006年と2009年の2回アニメ化されている。
2006年版は、初めて見る人でも面白く、原作ファンには驚きをもって迎えてもらおうという意図で、時系列をシャッフルして放送するという、ある意味超常現象ともいえる斬新な構成がなされた。
そして新エピソードを追加し全28話となった2009年版。今度は原作通りの時系列順だが、視聴者が驚いたのが「エンドレスエイト」。
夏休みにやりのこしたことがあったハルヒが、何度も8月を繰り返すのに気付き、そのやりのこしたことをみつけるというエピソードなのだが…数カット差、数秒のタイミング差、多少の別セリフなどなど、ほとんど同じストーリーを8週にわたって放送し続けるという奇行に出たことは有名すぎる話だ。
後にも先にもありえないハルヒならではの構成だったともいえる。多くの人に驚きと困惑を与えたのは間違いないだろう。
実際のレコーディングで表情を撮影したものをもとに描いたという「ライブアライブ」の演奏シーンも圧巻だ。

原作者が書き下ろした「サムデイインザレイン」に続くエピソード「涼宮ハルヒの消失」は劇場版として作成された。劇場版だけあってさらにこだわって作られた素晴らしい作品なのでぜひTVシリーズとあわせて観てほしい。

こんな人にオススメ！

・ギャグアニメが好きな方
・原作ファンの方
・SFが好きな方

スタッフ

（2006年版）
原作・構成協力：谷川流
原作イラスト・キャラクター原案：いとうのいぢ
監督：石原立也
超監督：涼宮ハルヒ
シリーズ構成：涼宮ハルヒと愉快な仲間たち
キャラクターデザイン・総作画監督：池田晶子
アニメーション制作：京都アニメーション

（2009年版）
原作・構成協力：谷川流
原作イラスト：いとうのいぢ
団長代理(監督)：石原立也
団長補佐(助監督)：武本康弘
団長：涼宮ハルヒ
シリーズ構成：涼宮ハルヒとやっぱり愉快な仲間たち
キャラクターデザイン：池田晶子
総作画監督：西屋太志
アニメーション制作：京都アニメーション