六花の勇者

感想とレビュー

●数百年に一度魔神が襲い来る。それを退けるために選ばれた、六人の勇者の物語

魔神によって、度々領土が脅かされているピエナ王国。
魔神とそれが生み出した凶魔という化け物が数百年に一度大陸を侵攻するも、その都度『六花の勇者』に選ばれし六人が、己を犠牲にしながらもそれを退けてきた。
王国ピエナでは、年に一度の大規模な神前武闘会が開催されていた。この戦いを制した者は、前年度優勝したナッシェタニア姫と戦う事ができる。
猛者たちがぶつかり合おうとする瞬間、乱入する少年。
彼の名は『アドレット・マイア』。
アドレットは地上最強を高らかに宣言し、飛びかかる兵士の群れを華麗に倒し、準決勝でまさに戦おうとしていた猛者二人をギミックの仕込まれた武器を使って打ち倒した。
アドレットは神前試合を台無しにした事で牢に入れられてしまう。
しかし、彼の意志は揺るがない。
魔神を滅ぼす、その意志だけで血のにじむような鍛錬を積んできたアドレット。
彼とナッシェタニア姫の体に、六花の紋章が輝く。
彼らは、『六花の勇者』に選ばれたのだ。

●オレ様最強系主人公ではあるが、強さの理由は手段を選ばない意志の強さと鍛錬にある

昨今のアニメに多い『主人公最強系』とは少しだけ一線を画す。
アドレットは何か不思議な力に突然目覚めたのではなく、強さはその意志の強さと鍛錬に由来する。
また、目的のためなら手段を厭わない意志の強靭さを持つ。
その為『卑劣戦士』と呼ばれる事に。
その強さを得るためには数々の犠牲があった事から、単純に彼を最強系とは言えないだろう。
他のキャラクターたちも、六花の勇者に選ばれた事からそれぞれ猛者たちであるが、一筋縄ではいかないクセのある人物ばかりだ。

●七人目の勇者、裏切者の存在。この作品には推理物の要素も

この作品は『六花の勇者』と言いながら、メインの勇者は七人。
つまり一人が偽物であり、裏切者。
ファンタジー作品でありながら『誰が裏切者なのか…？』と推理しながら話を見進めていく、今までないような斬新な作りであると言える。

●美しい作画、流れるように動くアニメーション

強さを物語るバトル系アニメで作画やアニメーションは非常に重要だろう。
作画は美しく、動きは流れるよう、音楽もそれを支えて有り余るすばらしさがある。
全てが高水準、クオリティの高い映像作品に仕上がっている。

●登場キャラクターたちの魅力

男女ともに魅力的なキャラクターばかりで、視聴者の傾向を絞らないのが良いところと言える。
良い意味で『人気の王道ファンタジーRPGのような』魅力的な男女混成パーティだ。
個人が特殊能力を持つなど、こちらもゲーム的な要素が好きな方にとってはたまらないだろう。

●原作は集英社『ダッシュエックス文庫』より発刊のライトノベル『六花の勇者』

本アニメの原作は、山形石雄さんのライトノベル『六花の勇者』。
非常に美しく魅力的なイラストは宮城さんによって手掛けられており、作品の魅力を引き立てている。
漫画版『六花の勇者』は戸流ケイさん作で、４冊発行されている。