
プラスティック・メモリーズ
おすすめポイント
デジタルな記憶の中から生まれるラブストーリー
シンプルだからこそ美しい。アンドロイドとの恋。
泣かせに来ていると分かっているのに泣いてしまう、心温まる話の数々。
主人公だけじゃない。魅力的なサブキャラクター達。
感想とレビュー
●人型アンドロイド・通称「ギフティア」
豊かな表情など高機能な性能を持つ「心」を有するアンドロイド・通称「ギフティア」が広く実用化された近未来が舞台。
外観や性格は様々で、使用契約によって人間に提供されるパートナー的存在であり、家族・恋人・仕事仲間など様々な形態の関係が築かれている。
耐用期間(約9年4ヶ月)を超えると人格や記憶が壊れ出すため、法律により期限前の回収が義務付けられている。そのため、保有者とは使用契約時にその旨の念書を交わすこととなる。また、回収の際にはオーナーのプライバシー保護の観点などから、保有者立ち会いの下でギフティアの機能を停止させる作業を行うことも義務付けられている。
この回収作業を行うのが主人公の少年・水柿ツカサが勤める「ターミナルサービス」である。
ツカサはギフティアの少女・アイラとパートナーを組み、寿命を迎えるギ フティアの回収作業を行う。
●アンドロイドなのにポンコツ?
アイラに惹かれて作品を見ていたという人も多いのではないだろうか。ギフティアでありながら不器用で、回収対象を追いかけてゴミ捨て場へとダイブしてしまう等、ことあるごとにそのポンコツっぷりを発揮。無表情でキリリと登場した冒頭とは打って変わって、数々の可愛らしい失敗シーンで視聴者を虜にしていた。
ツカサと同棲を始めてからは表情の変化も大きくなり、より魅力的に。〝人間よりも人間らしいギフティア″として描かれている。
アイラの失敗シーンやミチルとの会話等、前半はギャグ描写が多い。別れをテーマに全体的にシリアスなシーンが多いのでこのような軽いギャグがうまくバランスをとっている。
●「泣かせよう」というスタッフの気概
プラスティック・メモリーズは「泣ける」要素が随所に詰め込まれたストーリーが展開した。
ツカサとアイラの最初の顧客は、独り身のお婆さんとその世話を見る小さな女の子のギフティア。泣かせる物語の定番、人によってはわざとらしさすら感じてしまう「子供・動物・老人」のうち二つを盛り込む力技で視聴者を感動させた。
二人が恋人同士になってからはアイラと残された時間をどう過ごすかという話になる。二人が互いを思う純粋な気持ちと悲しい別れの物語にやはり涙腺が緩んでしまう。
最終話のタイトル「いつかまた巡り会えますように」はアイラが寿命を迎えたギフティアのために囁いてきた言葉だ。二人の思い出の場所である遊園地で、その言葉をツカサがアイラに囁くシーンは感動的で映像としてもストーリーとしても美しい、二人の別れにふさわしいシーンだった。
●魅力的なサブキャラ
サブキャラの中でもとびきり魅力的なミチルとザックのコンビを描いたスピンオフが『プラスティック・メモリーズ Say to good-bye』。タイトルからして涙腺が崩壊しそうでだが、1巻はツカサが「ターミナルサービス」に来るまでの前日譚にあたり、2巻からは本編をミチル目線で再構成した内容になっている。
ミチルとザックがいかに信頼関係を築いていったか、ツカサが現れてからのミチルのツンツンっぷり、ザックの腹黒っぷりを本編以上に楽しめるものとなっている。
その他の「ターミナルサービス」の社員も魅力的だ。
鼻っ柱の強い女上司のカヅキと真面目な青年型ギフティア・コンスタンス。ベテランでありながら軽薄そうに見えるヤスタカと彼を引っ張るキャリアウーマン型のギフティア・シェリー。メンテナンスを担当する快活な女性エル。ワンクールではそれぞれのペアを描き切れなかったことが悔やまれるほどに良いキャラクターたちが登場している。
こんな人にオススメ!
・ラブコメ好きな人
・泣けるアニメが見たい人
・アニメらしいキャラクターが好き
スタッフ
監督:山田尚子
原作・脚本:林直孝
シリーズ構成:吉田玲子
キャラクターデザイン:堀口悠紀子
アニメーション制作:京都アニメーション
キャスト
水柿ツカサ:内匠靖明
アイラ:雨宮天
絹島ミチル:赤崎千夏
ザック;矢作紗友里
桑乃実カヅキ:豊口めぐみ
コンスタンス:日野聡
縹ヤスタカ:津田健次郎
シェリー:愛美
山野辺タカオ:飛田展男
土器レン:拝真之介
海松エル:上坂すみれ
その他:星野 充昭、楠大典など