棺姫のチャイカ

感想とレビュー

●森で迷う少女。その背には棺桶が背負われていた

無職のトールは、山菜を取りに山までやってきていた。その山で、明らかに道に迷っていると思しき少女と出会う。銀の髪、紫の目、そして背中の棺桶…トールは怪しんだが、朝食を奢ってもらうという条件で、麓の街まで案内する事に。
山を下る途中ユニコーンに襲われるも、トールの元傭兵である高い戦闘能力と、チャイカが棺桶からに取り出した機杖『ガンド』によりそれを打ち倒す。
トールの実力を目の当たりにしたチャイカは、トールの妹であるアカリともども、協力者として雇い入れる。チャイカは、『あのもの』を探して大陸中を放浪していたのだ。

●偉大な国王だった父。今は体をバラバラにされて各国の代表が保管している

チャイカの目的は、父の体を集めて弔う事だ。
心優しいチャイカはそれだけを目的に各地を放浪し、時に危険に身を晒している。
父の体を集める旅には様々な権力者の思惑が絡み合い、困難を極める。

●テンポが良いバトルファンタジー。安定の作画

戦闘要素が多い棺姫のチャイカ。
アクションシーンはよく動き、迫力があり高評価だ。
また、特筆すべきはチャイカの持つ棺桶に収納されている機杖『ガンド』だ。
本作オリジナルである機杖は、巨大な長い銃を構え、呪文詠唱をする事で強力な攻撃を放つ、魔法使いの武器である。
詠唱時間が長く拘束されるため、詠唱中は無防備になる事が欠点。
高い戦闘能力を誇るトールとアカリとは、非常に相性の良い仲間と言える。

●いつでも明るくまっすぐなチャイカに心癒される。魅力的なキャラクターたち

カタコト喋りが特徴的なチャイカ。
チャイカの外見はとてもかわいらしいが、個性的な太眉で好みが別れそうな部分もある。どちらにしろ見慣れてくるととても可愛く、癒される。
まっすぐな性格もあいまって、とても好感の持てるキャラクターに仕上がっている。
トールは働く気のないニート気質だが一度戦闘となると頼りになる姿を見せ、その妹アカリは傭兵気質のお堅いタイプだが、なんだかんだで兄を慕っている。
個性の立ったキャラクターたちに注目したい。

●原作は榊一郎さんによるライトノベル『棺姫のチャイカ』。12巻で完結

原作は富士見ファンタジア文庫より発刊されている『棺姫のチャイカ』。
榊一郎さん作。
美麗なイラストはなまにくATKさんが手掛ける。
2015年3月に全12巻で完結した。
また、漫画は『月刊少年エース』『エイジプレミアム』『4コマnanoエース』より発行され、その人気が窺える。