アクティヴレイド

感想とレビュー

●活躍するのは正義のヒーロー！――ではなく、公務員です

アクティブレイドは近未来の日本を舞台としている。流砂現象によって関東の大部分が泥沼と化した中、災害復興作業用として開発されたのが高出力強化装甲「ウィルウェア」である。
しかし高性能なウィルウェアは犯罪にも使用されるようになってしまい、一般の警察には手に負えなくなってしまっていた。そこでウィルウェア犯罪に対処すべく立ち上げられた組織が主人公達の所属する「特別公安第五課第三機動強襲第八係」、通称「ダイハチ」である。
つまり物語の主要な登場人物はほとんど警察官であり、関係してくる組織も警察やお役所関係――つまり公務員ばかりなのである。

作中において「ダイハチ」は「特別機動強襲室」という形でウィルウェア犯罪全般を取り締まる部署として格上げされている。しかし公務員であることに変わりなく、そこにはしがらみが非常に多い。
例えばウィルウェアによる出動や武器の使用、更には必殺技を決めるにも関係各所の承認が必要という有様なのである。それでもダイハチの面々はチームワークと知恵と勇気を振り絞って悪と戦う。その姿には、今までのヒーローにはない「新しいヒーロー像」が見えてくるだろう。

●まるで特撮モノ！ウィルウェアによる白熱したアクションシーン

本作の魅力は何と言っても彼らの装着するウィルウェアにある。ウィルウェアにはそれぞれ特徴があり、例えば主人公の花咲里あさみが着るオスカー６は最新鋭多機能型、瀬名颯一郎の着るオスカー１は射撃特化型、黒騎猛のオスカー２は近接戦闘特化という味付けがなされている。
さらに見た目にも赤や青など個々で色分けされているため、まるで特撮モノにでてくるヒーロー達といった趣があるのだ。

また前述のとおりウィルウェアは災害復興用として開発されたものであるが、一般人でも入手や改造や容易いため、よく犯罪等の悪事に利用されている。
そして主人公たちもウィルウェアを装着して対抗することになるのだが、この装着シーンはCGを利用した非常に見どころのあるシーンとなっているのだ。
常人では真似できないアクションシーンもウィルウェアならではのことであるので、視聴の際はぜひこのウィルウェアに注目して欲しい。

●笑いあり涙ありの多彩なストーリー

物語は主人公の花咲里あさみが本庁からダイハチに異動するところから始まる。彼女は若干１９歳にして警部補となった天才であり、問題行動の多いダイハチのメンバーを更正するためにダイハチに配属された。
しかしそんな経歴もどこ吹く風、個性的なメンバーの多いダイハチに振り回され、やがて彼女もダイハチの一員として迎えられるのであった。

また各キャラクターを掘り下げる回ではカジノでギャンブルをしたり、かつての恋人と痴話喧嘩しながら事件を解決したり、巨大ロボ（重機）同士で戦ったり、犯人とコアな鉄道オタク話を繰り広げたりとスタッフの愛とお遊びが感じられる展開が多い。
かといってコメディばかりでなく、犯罪者集団LOGOSにそそのかされた犯人を説得する過程で犯人を死なせてしまったり日本全体が支配されそうになる展開もありと、シリアスな面も強くメリハリが効いている。
２０１６年１月から３月と、７月から９月までの分割２クールで展開されるので、今後のストーリー展開が楽しみな作品である。