「ソードアート・オンライン」や「魔法科高校の劣等生」など、電撃文庫で6000万部のライトノベルを売ったカリスマ編集者の三木一馬さんが、新会社「ストレートエッジ」を設立し、作家のエージェント業に乗り出した。業界最大手のライトノベルレーベル編集長を辞めて、独立した理由について話を聞いた。
(中略)
--編集者はこのままではまずい?
このままだと、自分の頑張りとは別のところで“不戦敗”になると思ったのです。新しいことをしようとしたときに既存のスキーム(枠組み)に囲われていて、やれることに自由が少ないと感じたのが一つ。そして出版社の編集社員はすさまじく多忙なのに、インターネットの登場で、実質的に媒体が増えてしまい、クリエーティブな作業にかける時間が減っています。しかしネットには対応しないといけないわけです。私は未来の編集者像が、「媒体を編集する」ことだと思っています。--「媒体を編集する」とは?
これまで編集者は、自社の媒体のみを編集していたのですが、これからは媒体の枠を取り払い、複数ある媒体から任意に選ぶ必要があると思います。編集者は決して作家と会社の“仲介業”ではありません。確かに編集者がいなくても自力で売れるスター作家はいますが、編集者がいなかったらブレークしなかった作家もいるわけです。そして現在気になっているのは、ネットを利用するのでなく、振り回されている編集者が多いと感じることでしょうか。編集者がネット小説のランキングを追うこと自体を否定しませんが、本来は編集者が作品を見いだし、それをどうやって売るか工夫を凝らすことが大事なはず。あくまで、ネットはツールの一つだと思うのです。そして新たなコンテンツを見つけ出し、コンテンツの規模を何倍にも増幅させるのが編集者の仕事と思います。
--ランキング通り、マニュアル通りに売れるなら誰も苦労はしませんね。
自分が編集をすれば、ランキング以上に売れるようにしたい……と思わないといけません。管理する立場なら、編集のノウハウがあって、ベルトコンベヤー式のほうが分かりやすくて良いのですが、現場はそうはいきませんし、そもそもランキングから作品を選ぶような仕事をして楽しいのかな?と疑問に思います。そもそも「コンテンツを作りたい」と思うのが編集者で、自らの編集のクリエーティブが削がれては不満に思うはずです。(中略)
--今後は?
ここ数カ月は出費だけの生活になりそうで、年収は4分の1になりました。まずは電撃文庫の編集者の仕事もがんばりつつ、新たなるチャレンジに動いています。現在はゲーム会社、ビデオメーカー、レコード会社と協力して、映像やゲーム、紙媒体などざまざまな新規のプロジェクトが現在8本動いています。今年中にはどうにか1本は形にしたいですね。
ネットの反応
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ネット小説ランキングって今はそんなに影響力あるのか。
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web重視にせよ、ある意味アンチなろう(を重視する編集部・編集者など)の考え方だなぁ。「火星の人」こういう意味でも注目されているのな
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独立したんだ、三木さん。頑張ってほしい。業界に必要な人だからね。
管理人さんに同意すわ!