「新人で歌やイベントがNGなら仕事が難しい」変わりゆく声優の現状をプロが真剣討論
コンテンツ研究家の黒川文雄主催で行われた勉強会「黒川塾(二十五) エンタテインメントの未来を考える会 声優は一日してならず…声優事情変遷史」で、声優業界の知られざる側面や仕事論について議論されました。
登壇者はピッコロ大魔王役などで知られる古川登志夫さん、「ふたりはプリキュアSplash Star」の美翔舞役などを演じた榎本温子さん、業界最大手の青二プロダクションのマネージャ池田克明さん、81プロデュースのマネージャ百田英生さん。
<声優の仕事の変化について>
●「アイドル声優」が注目を集めているが、テレビやラジオのCMナレーション、館内ナレーション、カーナビの音声、はたまたプロレスのリングアナや、電車の車内放送なども声優の仕事。
●一方でアニメ声優も仕事の幅はどんどん拡大中しており、榎本さんは「新人で歌やイベントがNGなら仕事が難しい」と明かす。デビューして18年目ながら、すでに2~3回くらい仕事の仕方が変わり、最近はニコニコ生放送の影響力が大きいとのこと。配信時代を迎えて業界のあり方から変わっていくため、仕事も変えていく必要があると語る。
●古川さんによると、ポイントは変化に対応していくこと、その中で自分の個性を失わないこと。「どんな仕事でもオールマイティにできるようにした。でなければ将来にわたって安定的に仕事をしていくのは難しいと感じた」と言います。
<アニメや洋画で、声優ではなく芸能人やタレントが宣伝目的で起用されることについて>
●黒川さんは「目をつぶって聞いていると、声があっていないのが如実にわかる」と言います。
●これに対して池田さんは「漫画のアニメ化の際にイメージと声が違うなど、突き詰めると声優同士でもそういったことはある」とコメント。
●また最近は横展開をしやすいように、スケジュールが比較的とりやすい若手声優で戦略的に固めることもあると語りました。
<声優を目指す人に向けて>
●榎本さん「声優は煌びやかに見えるかもしれないが、思った以上に普通の世界」。歌やイベントなどもさることながら、スタジオワークが好きで声優の仕事をしている。苦労もたくさんあるが、それ以上に素敵な部分もあるからやっていると説明し、夢のある仕事だが覚悟も必要。
●古川さん「最近は過熱気味ともいえるほどの新人発掘熱だが、逆にそれだけ敷居が下がっていることも事実で、恵まれているところもある。ぜひ、がんばって欲しい」
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