
極黒のブリュンヒルデ
おすすめポイント
あの日以来、ひとりで夜空を見上げている…
原作者・岡本倫による先の読めない展開とグロ要素、そして女の子の可愛さ
陰惨描写要素を盛り込んだサイエンス・ファンタジー
魔女たちが繰り広げる駆け引き満載のアクションシーン
感想とレビュー
●魔女たち固有の能力と制限
「魔女」という名称で呼ばれるが、メルヘンチックな意味合いは皆無である。
人体改造手術を受けて得た特殊能力なので、作品のジャンルに違わぬ、サイエンスな意味での魔女なのだ。
その能力は様々で、研究所ではテストを行い魔女たちをランク付けしている。出来損ないとされるBクラス以下の魔女たちは実験ののちに処分場へ送られるのだ。
寧子たちは基本的にこのBクラス以下の魔女である。
対して、研究所から送り出される刺客は、Aクラス以上のものばかり。
ポテンシャルの違いは確かにあるのだが、そこをどう切り抜けるか。それがこの作品の大きな見どころである。
また、魔法は決して万能でなく。ハーネストのボタンを押されたり、許容以上の魔法を使うと、ハングアップという状態になり丸一日魔法が使えなくなってしまうのだ。
そうなると魔女たちは本当にただの女の子でしかなくなってしまう。
この設定が、魔女たちの戦いに大きな戦略性を生み出しているのだ。
●常にギリギリで生き延びている緊迫感
寧子たちは研究所から隠れ生活を送っているが、ただ見つからないようにすれば生き延びられる…というワケでは無い。
彼女たちの体は一日に一回「鎮死剤」と呼ばれる薬を飲まないと、徐々に溶け出して死んでしまうのだ。個人差はあるが、およそ30~35時間がリミットになっており、40時間が経過すると人の形ですら無くなってしまう。
その為、ただ逃げ隠れしているだけでなく、薬を手に入れるために打って出なくてはならないのだ。
更に、首につけられたハーネストのイジェクトボタンを押された場合も、同様に体が溶け出して死んでしまう。
強力な魔女たちへの抑止効果として、彼女たちには死の可能性が常について回るのだ。
しかし、だからこそ物語は常に動き続ける。そしてそれと同時に、何でもない日常のシーンがより幸福感で満ちたものになっているのだろう。
●暗くなりすぎない、コミカルな要素も
重い設定が数多く出てくる為、暗い作品だと思われそうだが、決してそんな事は無い。
そこは出てくるキャラクター達の性格や設定による所が大きいだろう。
長く研究所にいたためか、寧子たちの感覚はどこかズレている所があり、それが物語を全体的にコミカルに見せてくれている。
佳奈などは実験のため全身不随で食べ物は流動食しか食べられない…という、設定だけ聞いたらかなり悲惨な状況である。しかし本人は趣味でゴスロリ服を着用しており、何とか動く指先でキーボードを打ち、合成音声で会話する。無表情ゴスロリ娘から発せられるテンションの高い毒舌は、陰鬱とはかけ離れたものである。
度々荷物扱いされたりケーキはミキサーにかけられたりと、不謹慎ながら面白く感じてしまうのは彼女の性格が大きく影響しているだろう。
基本的には良太がツッコミ役を担っているのだが、彼自身も大真面目に「お金を払う価値のあるおっぱい」について語り出すなど、普通の男子高校生らしい一面も見せる。
日常シーンでの「普通さ」がより面白く見えるのは、シリアスな展開とのギャップの大きさがあるからだろう。
良太と寧子を中心に、ラブコメ要素も盛り込まれているので、そこにも注目したいところである。
こんな人にオススメ!
・SF好きな人!
・可愛い女の子が好きな人!
・魔法による派手なアクションが見たい人!
・グロ要素に魅力を感じる人!
スタッフ
監督:今泉賢一
シリーズ構成・脚本:北島行徳
キャラクターデザイン・総作画監督:烏宏明
アニメーション制作:ARMS
キャスト
村上良太:逢坂良太
黒羽寧子:種田梨沙
橘佳奈:洲崎綾
カズミ・シュリーレンツァウアー:M・A・O
鷹鳥小鳥:田所あずさ
斗光奈波:沼倉愛美
若林初菜:内山夕実
藤崎真子:能登麻美子
柱谷小五郎:伊藤健太郎
黒服:鈴木達央
九 千怜:東地宏樹