干物妹！うまるちゃん

感想とレビュー

●一人で二人分可愛い！　全く違う二つの可愛さを持つうまるちゃん！
主人公の土間うまるは完璧jkである。正統派美少女でスタイル抜群、文武両道に優れている。
これが外での顔。　家に帰った途端、うまるは二頭身に縮み、謎の生き物に変わってしまうのだ。
そしてコーラを飲み、ポテイトを食べながらダラダラとゲームやネットに興じるだけの干物女、ダメ人間に変質してしまう。　
　あんなに美しく毅然としていた土間うまる嬢が、である。
　だが、この干物妹状態のうまるちゃんも可愛いのだ！
　美少女としての可愛さではなく、マスコット生物的な可愛さではある。　兄に駄々をこねて夜中に使い走りをさせり、お年玉を二重取りしたことを黙ってネコババしようとするクズ人間なのだが、それも全てひっくるめて許せてしまえる不思議な可愛さを持つ生き物なのだ。
　ベクトルの違う二種類の可愛さを持つ主人公・うまるがこの作品における第一の見どころである。

●正体がバレる？　ハラハラドキドキの日常
いわゆる”萌え日常もの”にカテゴライズされる本作であるが、まったりだけではなく、若干のスパイスが効いている。
　それが上記のうまるの正体に関してだ。
　うまるは学校では完全無欠の優等生を演じており、同級生にとって憧れの存在である。
家では謎の生物になることも、オタク趣味でダラダラと過ごしていることも隠している。
　全てを知っているのは、アパートで一緒に暮らしているお兄ちゃん、土間タイヘイだけなのだ。
　友達の本場切絵とは二頭身モードで遊んでいるのだが、これは”妹のこまる”という別キャラクターを演じているのである。
　他に”UMR”という覆面を付けたイケメン女子モードもあり、同じく友人の橘・シルフィンフォードをメロメロにしているのだが、これもうまるちゃんとは別人だという設定にしてある。
友達に隠し事をするのはつらい、でも今まで完璧jkを演じ続けたがために引っ込みがつかない。　そんなうまるの葛藤が、パラダイスな日常に若干の緊張感を与えている。
　しかし、周りの友人は良い子ばかりで、視聴者目線から見れば、ばれたところで結局は許してくれるだろうと確信できる安心感もある。

●少しずつ成長してゆくうまるの心
　物語開始当初のうまるはガチクズである。
　駄々をこねてわがままは通すし、買ってもらったハムスターの世話は兄に押し付ける、家事も激務で疲れ果てている兄に任せきりでダラダラ遊んでばかりいる体たらくだ。
　それでいて外では高嶺の花を演じ、なんでも自分でやれるように見せかけている。
　だが、兄・タイヘイはそんな妹をちゃんと叱れる男なのだ。
　叱ってもすぐには効果があるわけではないのだが、めげずに叱り続ける。
　そのおかげかうまるも段々と成長し、同じアパートに住む海老名菜々をはじめ、良い友達も増えてきた。
　二頭身モードのうまるが幼いだけに自分の子供を育てているような感覚を味わえるのも、このアニメを鑑賞する楽しみである。